研究概要 |
低体温の虚血脳保護作用をオートラジオグラフィー法を用いて検討した。はじめに組織学的検討において低体温群の脳梗塞体積が正常体温群の38%となる結果が得られ,中大脳動脈閉塞モデルにおいて低体温(37℃)が虚血脳に対して保護作用を有することを確認した。次に行なった脳血流オートラジオグラフィーでは中大脳動脈閉塞モデル(低体温,正常体温7匹ずつ)において虚血側の脳血流は低体温群,正常体温群間に差を認めなかった。脳グルコース代謝オートラジオグラフィーの結果、中大脳動脈閉塞モデル(低体温9匹,正常体温7匹)においては両群ともにischemic core部ではグルコース利用率は低値であった。一方、ischemic core周辺(moderate ischemia)では正常体温群でグルコース利用率が高相を示したが,低体温群においてはグルコース利用率の有意な上昇は認めず,このことは脳グルコース代謝と脳血流(^<123>I-IMP使用)の2重標識オートラジオグラフィー(低体温,正常体温3匹ずつ)での検討でも証明された。 今回の研究より正常体温群で認めたischemic core周辺の糖代謝亢進が低体温により抑制されることが,低体温の虚血脳に対する保護作用と関連のあることが推測された。 研究計画での脳細胞内pHオートラジオグラフィーについては現在進行中である。
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