研究概要 |
α型血小板由来増殖因子受容体(PDGFRA)の転写調節領域を含めての全遺伝子構造を解明し、転写活性に関しての検討も終了した。この内容は“Structure, organization and transcription units of the human α-platelet-derived growth factor receptor gene"(Genomics 30:224-232, 1995)に詳細を報告した。さらに、培養細胞に遺伝子導入し、構造改変したPDGFRAの生物学的意義を検討した。in vitro phosphorylation assayにて、構造改変したPDGFRAはリガンドの非存在下で高レベルの燐酸化能を示した。この結果は、構造改変したPDGFRAが制御されない高いチロシンキナーゼ活性を介して、神経膠芽腫形成に関与していることを証明する。 これらの結果をもとに、トランスジェニックマウスの作成を行った。先に明らかにしたPDGFRAの転写調節領域を変異型PDGFRA cDNAに接続した遺伝子を導入したトランスジェニックマウスでは、肺及び胎盤での強い発現が見られたが、目的とする脳での強い発現は見られなかった。現在、グリア細胞での強い発現を得ることを目的として、マウスglial fibrillary acidic protein遺伝子の転写調節領域を用いた導入遺伝子を構築し、トランスジェニックマウスを作成している。またin vitroにて、遺伝子導入した培養細胞が造腫瘍能を持つか否かを、soft agar assay及びnude mouseの皮下、脳内移植モデルを検討している。
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