Sprague-Dawley ratを用い、放射線照射はStabilipan2(Siemens社製)を利用した。照射方法は急性期実験と移植脳腫瘍モデルの全脳に10Gyもしくは20Gyの一回照射を行った。 1)放射線照射中の腫瘍組織及び対側正常脳の血流量は、現有のレーザードップラー微小循環血流計を用いて、high speed drillによる穿頭部から2本のprobeで同時に測定した。照射後そのまま数時間経時的な血流変化を測定した。 2)定量的な局所脳血流量、局所脳血液量およびグルコース、アミノ酸等の脳内へのuptakeの測定は以下の通り。radioactive tracersを含む重炭酸緩衝生食で脳を30秒潅流し、断頭した後、脳の数箇所から移植腫瘍や正常組織をsamplingし、radioactivityを測定する。局所脳血流量、局所脳血液量のtracerにはそれぞれ^3Hでラベルしたdiazepam、inulinを用いる。グルコースおよびアミノ酸のtracerにはそれぞれ^<14>CでラベルしたD-glucoseとL-leucineを用いる。なお実験中は、麻酔による体温低下を避けるため小動物用体温コントローラにてラットの直腸温を37度に保ち、血圧、動脈血O_2、CO_2濃度等の生理的条件を一定に保つよう留意した。 実績の概要は以下の通りである。 (1)レーザードップラー微小循環血流計では、放射線照射中に血流増大傾向を認め、照射後も数時間にわたり、血流増大が持続した。 (2)定量的な局所脳血流量、局所脳血液量実験では、同様に血流及び脳血流量の増加を認めた。しかしその値は照射前と比べ統計学的に有意な変化ではなかった。 (3)移植脳腫瘍モデルでは今年度の研究期間中には評価しうるデータは得られなかった。
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