1.原形質膜Ca^<2+>-ATPase抗体の作製、免疫組織化学 赤血球膜より蛋白を精製し、抗体作成の予定であったが、効率が悪く、蛋白を得るまでに多大な時間を要するため、以下のような分子生物学的手法により、蛋白を得、抗体を作成した。原形質膜Ca^<2+>-ATPaseにはtypeI-IVのサブタイプがあるが、分子量が約12Kと大きく、蛋白全体として精製することは難しい。従って、各々の活性部位のみを精製し、同部蛋白に対する抗体を作成した。生化学的な分析から、海馬にはtypeIIあるいはIが多く発現していることが予想され、先ず、typeII抗体作製を行った。(方法)(1)原形質膜Ca^<2+>-ATPaseのプローブを入手し、制限酵素を用いてCa^<2+>-ATPase分子を切断、活性部位のみのプローブを作製。(2)得られたプローブをベクターを用いて大腸菌に組み込み、大腸菌を増殖させ、Ca^<2+>-ATPase活性部位蛋白を発現させる。(3)菌体蛋白を可溶化し、ヒスチジンカラムを用いて目的蛋白のみを分離精製。(4)野兎を用いてpolyclonal抗体作製。ウエスタンブロッテイングによる特異性の検定。現在、typell抗体については(4)までを終了し、虚血砂ネズミにおいて免疫組織科学的検討を行っている。 尚、以前、本研究費によって行った、同酵素の酵素組織化学的検討の結果をpublishした。 2.砂ネズミ後脳虚血モデルの実験 砂ネズミの椎骨動脈は非常に細く、確実に閉塞することが難しい。現在、Hataら(1994)の両側鎖骨下動脈閉塞法の手技習熟に努めている。 3.リーラーマウス遅発性神経細胞死モデルの作製 リーラーマウスの椎骨動脈は砂ネズミよりさらに細く、閉塞はさらに困難である。前記の手技獲得により、4vesseles occulusionを実現したい。 4.砂ネズミ海馬スライスを用いた電気生理学的実験 本年度は新たに、電気生理学的実験を開始し、遅発性神経細胞死におけるグルタミン酸受容体の関わりを明らかにして行く予定である。
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