研究概要 |
【対象】研究の対象は、術前facial score 40点満点の聴神経腫瘍患者であり、現時点で19例が対象となった。腫瘍sizeは、内耳道内〜後頭蓋窩3.0cm(後頭蓋窩size mean1.2cm SD1.0cm)、年齢は20〜65歳(mean47.68歳 SD12.3歳)であった。 【方法】術前に顔面神経誘発筋電図F波を施行(Facial N Res:14,1994石原ら)し、duration比によって正常群(患側/健側=正常コントロール左右比の1SD以下)7例、境界群(1SD〜2SD)9例、異常群(2SD以上)3例の3群に分類した。これらの症例は拡大中頭蓋窩法で手術が行われ、その後、長期顔面神経機能を反映すると思われる術後6カ月以上経過した時点でfacial scoreを計測し、各群間に有為な差があるかどうか検討した。 【結果】正常群のfacial scoreはmean25.42SD10.69、境界群はmean26.44 SD12.44、異常群はmean33.33 SD11.54であった。 【考察】我々の予測と異なり術前の患側F波の延長は術後の長期的顔面神経機能障害を予測するものではなかった。しかし、その他の年齢、腫瘍size、術式等様々な術後顔面神経機能に影響を与えると思われるパラメータも存在するので、今後は症例を増やしこれらのパラメータと共に重回帰分析等で検討する必要があろう。
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