研究課題/領域番号 |
07771119
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80200484)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Herpes simplex virus / L1 / neural regeneration / astrocyte / neurite cutgrowth / cell migration |
研究概要 |
中枢神経系は一般的に再生能に乏しく、そのことが神経外傷・脳卒中・外科的手術後の機能予後を低下させている。我々は以前から、神経系に発現する細胞接着分子に着目し、中枢神経系の再生促進への応用を目指している。本研究では、将来の臨床応用を念頭に置き、神経親和性の高い単純ヘルペスウイルスを用い、毒性を極力低下させた複製変異型ベクターを構築した。同ベクターに、形質転換細胞実験系(in vitro)で既に神経再生促進効果を見い出しているL1蛋白のcDNAを組み込み、元来L1を発現していない初代培養系ラットアストロサイトに遺伝子導入したところ、CMVプロモーターにより高い発現効率が得られ、またグリア細胞特異的GFAPプロモーターにより長期発現が得られた。次にL1を強制発現させたラット胎生20日目のアストロサイトをフィーダーレイヤーにして、ラット生後1日目の小脳顆粒細胞を共培養したところ、L1を発現したアストロサイト上で、有意に神経突起伸展の促進が観察された。また、小脳顆粒細胞の再凝集を作成し同様に共培養したところ、やはりL1を発現したアストロサイト上で、神経細胞の移動が有意に促進された。これらはいずれも神経再生にとって重要な機能であり、我々の開発した複製変異型ヘルペスウイルスベクターを用いて、初代培養系でこれが立証されたことは、今後のin vivo実験、さらには臨床応用へ向けて、大変意義深いものと考えられる。また、本実験系でフィーダーレイヤーに用いたアストロサイトにおいては、L1を発現している細胞数は約30%のみであるにも関わらず、突起伸展や細胞移動は均一に促進されることから、細胞-細胞の相互接着だけでなく、何らかの情報伝達系が機能していることが予想される。そこでbasicFGF受容体を介するsecondmessenger系の阻害剤を加えたところ、両者ともに部分抑制された。このことにより一部はbasicFGF受容体を介する情報伝達系が関与していることが示唆された。今後はin vivo脊髄損傷モデルを用いて神経再生を検討して行きたいと考えている。
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