研究概要 |
ヒトグリオーマの外科摘出標本でTIMP-2のNorthen blottingで、複数のnRNAが認められた。これはTIMP-2遺伝子のalternative splicingの可能性を示唆するものであった。ヒトグリオーマ組織由来RNAから作成したcDNAを対象としたPCR法によって、TIMP-2遺伝子DNA配列を増幅したところ、使用したプライマーの位置から予想されるTIMP-2由来産物のサイズよりも小さいPCR産物の存在を認めた。その塩基配列を決定した結果、TIMP-2遺伝子DNA塩基配列(国際DNAデータベースAccesslon No.S48568,J05593)と比べてExon1の3′末端で266bpが存在しない配列であった。このalternative splicingによる新しいTIMP-2cDNAを発現ベクターpRC/CMVに組み込み、ヒトグリオーマ細胞株U-87MGに導入、ネオマイシンアナログであるG418に耐性のクローンから同遺伝子を発現するものを選別した。これと、コントロールのベクター群との間で細胞増殖能を比較したところ、顕著な抑制を示すクローンを確認した。現在、このクローンの浸潤能および基質接着能を検討している。また、5'RACE法により、このalternative splicingを示す遺伝子の5'側の検索、およびさらに物の型のalternative splicingを示すもののクローニングを施行している。
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