本研究の対象は膝前十字靱帯(ACL)損傷手術後の男子3名、女子3名だった。また、コントロール群は健常な成人男子5名、女子16名だった。対象の膝関節屈伸筋力ならびに全身反応時間を測定し両者の相関関係を確認する。これらの相関が被験者とコントロール群、ならびに損傷膝と健常側、そして男女間でどのような差となって表われるかを明らかにした。筋力測定には、等速度性運動機器CYBEX-6000(米国CYBEX社製)を使用し、膝膝関節伸展筋力を測定した。全身反応時間は全身反応測定器II型(竹井機器工業株式会社製 TKK1264b)を改造し筋電図と同期させ、光刺激に対し両脚でのジャンプ動作および、片脚でのジャンプ動作に要した時間を全身反応時間とし、同時に筋電図から筋収縮時間を算出した。その結果ACL損傷者、コントロール群ともに反応時間は女子が男子に比較して有意に長かった。また、筋力が高い者が全身反応時間が短縮していた。この筋力と全身反応時間の関係について深く関与する因子は、筋収縮時間の短縮であることが明らかにできた。このことから、ACL損傷を予防したり、スポーツ復帰の判断基準を考える場合、筋力の大きさが重要になることがわかった。また、女性の全身反応時間が延長することが確認できたことは、筋力の低い女性においてよりACL損傷の発生の危険性が高いのではないかということが示唆された。
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