(結果)椎間板高はいずれの週令においても、培養髄核挿入椎間板の方が挿入しなかった椎間板に比べ椎間が保たれていた。挿入4週後までは椎間板高は比較的保たれていたが、8週後では椎間板高の低下が認められた。また各種染色法において線維輪、終板軟骨の変性変化(線維輪の蛇行、断裂や軟骨帯の希薄化、染色性低下)は培養髄核を挿入することにより、線維輪の断裂、終板軟骨の染色性低下が培養髄核を挿入しなかった椎間板と比較し軽度であり、病理組織学検索において変性変化の抑制が認められた。^3H-thymidineを用いDNA合成能は培養髄核の挿入の有無による大きな差は認められなかった。^<35>S-sulfateを用いプロテオグリカン合成能は培養髄核の挿入椎間板においてより多くの合成能が認められ、培養髄核挿入によりプロテオグリカン合成能が促進した事が考えられた。 (考察)今回の結果は以前我々が行った新鮮髄核を挿入した実験と同様な結果がでた。本法は椎間板変性の進行を抑制することを目的としている。よって今回の結果により、臨床的応用の可能性が出てきたと思われた。培養髄核の再挿入によりプロテオグリカン合成は促進され、その結果、線維輪、終板軟骨の変性変化が抑制され、椎間板高が保たれたと思われるが、プロテオグリカン合成促進のメカニズムははっきりとしておらず、今後その解明が必要と思われる。また臨床応用においてアレルギー反応、長期経過観察例の検討が必要と思われる。
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