Blowout Fractureの実験モデルを家兎副鼻腔に作成し、4種の移植物を用いて実験を行った。移植物は家兎自家骨、同種骨、水酸化アパタイトブロック、シリコンブロックを用いて行った。 1.自家骨 3羽の家兎を用いて行った。第2次手術終了後12週で摘出を行うまで、感染を生じたケースは認めなかった。第3次手術で皮膚、粘膜、自家骨を一塊として摘出を行ったところ、2例で自家骨裏面に粘膜の再生を認めた。この2例は組織学的にも、摘出作業による粘膜の損傷を認めたが、家兎副鼻腔粘膜と同様の組織が確認された。1例は襄胞形成を認めた。 2.同種骨 2羽の家兎を用いて行った。第2次手術終了後12週で摘出を行うまでに1例は感染のため移植骨の露出を認め第2次手術終了後2週で中断を余儀なくされた。1例は、2週目に移植部の発赤を認めたが、露出することもなく第3次手術を行った。皮膚、粘膜、同種骨を一塊として摘出を行ったところ、同種骨裏面に襄胞形成を認めた。また粘膜の再生を示唆する所見は得られなかった。 3.水酸化アパタイトブロック 3羽の家兎を用いて行った。第2次手術終了後12週で摘出を行うまでに2例は感染のため移植骨の露出を認め術後5日目に中断を余儀なくされた。1例は、露出することはなく第3次手術を行った。皮膚、粘膜、人工骨を一塊として摘出を行ったところ、人工骨裏面に一部粘膜の再生を認めた。 4.シリコンブロック 3羽の家兎を用いて行った。第2次手術終了後7日以内に全例感染のため発赤露出し第3次手術を施行できなかった。 以上の結果自家骨を除く移植物は、副鼻腔の露出した部分への移植は困難であることが示唆された。但し同種骨は、家兎より摘出後消毒洗浄を行ったのみで移植を施行したため、抗原性の除去が不十分であった可能性は考えられる。 自家骨も3例中1例で襄胞形成を認めていたが、この1例は、実験を最初に行った例であり、技術的な問題があった可能性は否定できない。
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