研究概要 |
過去に当科に通院し、過去のX線像が保存されているが、現在は通院できていない慢性関節リウマチ患者(306例)の消息について調査し、電話で応答した。 所在不明例、死亡例、遠方転居例や当科での診察拒否例を除き、当科まで自力で診察を受けた来てくれた症例は23例、往診を行った症例は14例であった。この中、往診を行った症例については、本補助金により購入したポ-タブル型X線撮影機材を使用した。この調査によって長期経過に伴うレントゲン上の変化とHLA-DRB1対立遺伝子型との関連性が観察でき、本研究に有用なデータが加えられた。 その結果、我々の対照症例は352例に増加し、両方の対立遺伝子にリウマチの感受性遺伝子(HLA-DRB1*0405,0101)を有する群(S/S群)は58例、片方の対立遺伝子にのみ感受性遺伝子を有する群(S/N群)は171例、どちらの対立遺伝子にもそれを有しない群(N/N群)は128例となった。骨破壊進行度の最終段階であるgrade Vの平均罹患年数はS/S群では9.7年、S/N群では18.6年、N/N群では19.4年と、S/S群では他の群より早期にgrade Vに至る事がより明白になった。 今後は、現在、当科近郊に存在しながら、通院に障害のある患者について、往診とともに本機材を使用しレントゲン撮影を行う予定である。
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