灌流液中のpHが7.4から7.8に変化することにより呼吸回数は減少し、呼吸性活動の電位は増加した。pH7.0では対照的に呼吸回数は増加し、電位は減少した。低濃度のハロセンにより、それぞれの呼吸性活動は抑制され、特に吸気時間については著名に抑制された。しかし、pH変化に伴う変動様式は基本的に保たれていた。低濃度ハロセン下においても脳幹での炭酸ガス反応性は保たれることが判明した。各呼吸パラメータの変化に有意な相関は認められなかった。麻酔中に起こる呼吸抑制は、呼吸中枢に対するものより呼吸筋などの末梢メカニズムの関与が強いことが示唆された。 異なる3種類の吸入麻酔薬について、ラットのMACにて標準化し、呼吸性活動に対する影響を調べたところ、エンフルランにおいて抑制効果が強かった。拮抗薬を用いてGABAレセプタの影響を調べたところ、エンフルランによる呼吸抑制効果についてはGABAレセプタの強い関与が示唆された。臨床的には、他の吸入麻酔薬に比べエンフルランによる呼吸抑制は強いが、これは中枢でのメカニズムが強く関与していると考えられる。
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