急性肺障害に対するNO吸入療法による予後改善の有無について検討した。 【対象と方法】日本白ウサギ16羽を対照群(n=9)、NO吸入群(n=7)にわけ、全身麻酔下に気管切開・人工呼吸を行い、胸骨縦切下に上行大動脈に電磁血流計を装着し、右内頚動脈、右房、右室、左房にカテーテルを挿入した。基礎値測定の後、lipopolysaccharide 1200μgを90分かけて持続静注し、NO吸入群では同時に90分間10ppmのNOを吸入してガス交換および血行動態に関する評価を行った。 【結果および考察】対象群で9羽中4羽がLPS投与後90分以内に死亡したが、NO吸入群では死亡例はなかった。対象群ではLPS投与後30〜90分の間に、肺血管抵抗が著しく上昇し、心拍出量が低下したが、NO吸入によりこれが抑えられ、予後の改善につながったと考えられた。しかし、ガス交換能に関しては両群間で有意な差を認めなかった。 【結語】NO吸入療法(10ppm)は、LPS投与にともなう肺血管収縮を緩和させ、右心不全の予後を改善させたが、ガス交換能に関してはその予後改善作用を証明できなかった。
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