研究概要 |
・対象は雑種成犬21頭。全例、麻酔導入、気管内挿管後PaCO2の値が30mmHg程度となるよう人工呼吸を行った。前足動脈より観血的動脈圧ライン、外頚静脈より右室駆出率測定用肺動脈カテーテルを挿入した。左頭頂部にClosed Cranial Windowを作成し、各種血行動態、右心機能パラメータ、脳血管径を測定した。対象を3群に分け、二酸化炭素負荷を行い、PaCO2の値が約30mmHg(I群,n=7),40mmHg(II群,n=6),50mmHg(III群,n=8)となるようにした。開胸後、横隔膜直上にて大動脈遮断可能にし、各群において大動脈遮断前、遮断解除前、遮断解除後5分、15分、30分、60分で各種血行動態、右心機能パラメータ、脳血管径を測定した。 ・肺動脈圧は各群とも大動脈遮断遮断解除後5分には遮断解除前に比べ上昇した(I群16mmHg→28mmHg,11群15mmHg→25mmHg,III群16mmHg→27mmHg)。遮断解除後15分にはI群、II群ではほぼ遮断解除前の値に戻ったが、III群では24mmHgとやや高い傾向がみられた。遮断解除後30分、60分では各群ともほぼ遮断解除前の値に戻った。 右心機能の指標である右室駆出率は、各群とも大動脈遮断解除前に比べ、大動脈遮断解除後5分に減少した(I群39%→28%,II群38%→31%,III群41%→30%)。また、遮断解除後15分にはI群、II群ではほぼ遮断解除前の値に戻ったが(I群37%、II群36%),III群では32%と減少したままであった。遮断解除後30分、60分では各群ともほぼ遮断解除前の値に戻った。これら一連の右室駆出率の変化は右室後負荷である肺動脈圧の上昇による、右心機能の低下が原因であると推察された。 脳血管径の変化は個体によってばらつきがあり一定の傾向は判明していない。
|