研究概要 |
1,実験方法:ペントバルビタール麻酔下で400g前後のSDラットにT_<11>の高さで硬膜外腔にポリエチレンカテーテル(PE-10)を留置し,回復後テイルフリックテストを用いて抗侵害作用を評価した。投与薬物および方法としは,種々の濃度のα_2アドレナリン作動薬(デキサメデトミジン,クロニジン,チザニジン)の硬膜外投与およびモルヒネの硬膜外投与,これらのα_2作動薬とα_2拮抗薬ヨヒンビンの硬膜外同時投与,これらのα_2作動薬の筋肉内投与を用いた。またこれらのα_2作動薬硬膜外投与時の血圧,脈拍を非観血的に測定した。 2,結果:(1)デキサメデトミジン,クロニジン,チザニジンは,1〜100μg/ratの投与量で用量依存性に抗侵害効果を示した。(2)これらの薬物は筋肉内投与より硬膜外投与でより強い抗侵害作用を示した。(3)硬膜外投与における力価はモルヒネに対してデキサメデトミジンが4倍,クロニジンとチザニジンは1/4〜1/6であった。(4)この抗侵害作用はヨヒンビンによって拮抗された。(5)これらのα_2作動薬硬膜外投与時には用量依存性に脈拍数の低下と血圧の上昇がみられた。 3,考察:α_2作動薬は硬膜外投与によっても脊髄中枢神経系におけるα_2受容体を介して抗侵害作用を発現すると推測された。また硬膜外投与では,α_2作動薬くも膜下投与で従来で指摘されているような血圧低下はみられなかった。今後の臨床面におけるα_2作動薬による硬膜外鎮痛法の可能性が示唆された。
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