研究概要 |
成熟Japanese White Rabbit8例を4例ずつ2群(一酸化窒素(NO)非投与群、NO 20ppm投与群)に分け全身麻酔のもと人口換気を開始する。人口換気開始直後にE. Coil由来のエンドトキシンを1日1回腹腔内注射し40%酸素で4日間人工換気を継続した。NO投与群ではエンドトキシン投与開始直後から20ppmのNOを吸入させ屠殺時まで持続投与した。屠殺時の動脈血液ガス(PaO2)はNO吸入群で良好な値を示した。屠殺時の抹消白血球数、抹消血小板数はNO吸入群で高値を示した。屠殺時の肺機能(コンプライアンス)はNO吸入群で高値を示した。屠殺後開胸し肺を摘出し左肺下葉より光顕標本を作製した。NO吸入群で炎症細胞の浸潤、肺胞壁の肥厚が軽度であった。左肺上葉よりWet/Dry weight ratioを求めたところNO吸入群で低値であった。右肺より得た気管支肺胞洗浄液中の細胞増殖因子(PDGF, TGF-β)はNO吸入群で低値傾向にあった。サイトカイン(IL-6,IL-8)、アルブミン濃度もNO吸入群で低値傾向にあった。安全性の観点から血中メトヘモグロビン値を経時的に測定したがNO吸入群でも2%をこえることはなかった。これらのデータはNOの比較的長期吸入が急性肺障害モデルにおける細胞増殖因子の増加を抑さえ線維化を予防できる可能性を示唆している。さらに長期(月レベル)吸入での検討が必要と思われた。
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