家兎を用いて脳と脊髄の血管反応性の違いを、笑気、一酸化窒素合成酵素阻害薬N-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)、フェニレフリンについて研究した。 【方法】家兎をハロタン1%で麻酔し、人工呼吸を行った。脳および脊髄血流はcolored microsphere法で測定した。笑気の脳・脊髄血流に与える影響については、対照(70%窒素)、笑気(70%)吸入15分後、30分後で脳・脊髄血流を測定した(n=4)。L-NAMEについては対照、L-NAME10mg/kg(n=6)、30mg/kg(n=6)投与30分後で脳・脊髄血流を測定した。フェニレフリンの脳・脊髄血流に与える影響については対照、30%、50%血圧上昇時の脳・脊髄血流を測定した(n=4)。血流量は対照群を100%としたときの相対値(平均値±標準偏差)で表わした。 【結果】笑気吸入により大脳皮質血流は15分後、30分後で127±10%^*、109±27%に増加した。脊髄血流は143±28%^*、141±31%^*に増加した。L-NAME投与により大脳皮質血流は10mg/kg、30mg/kgで61±14%^*、58±12%^*に減少し、脊髄血流は68±18%^*、70±30%^*に減少した。フェニレフリン投与により30%、50%血圧上昇時の大脳皮質血流は対照の88±51%、96±80%、脊髄血流は76±64%、70±64%、であり、有意差はなかった。(*:p<0.05) 【まとめ】1%ハロタン麻酔下で笑気、L-NAME、フェニレフリンに対する脳と脊髄の血管反応性はほぼ同様であることがわかった。麻酔薬の違いによる脳・脊髄血流量の炭酸ガス反応性の差に関する実験は現在継続中である。
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