ラットを使用して、70%肝虚血モデルを作製し、肝における再潅流障害について検討した。ラットは麻酔され、開腹された。肝左葉、中葉に対する、門脈及び肝動脈をクランプし、1時間後に再潅流させ、24時間までの再潅流を行った。 肝組織中のミトコンドリア分画、サイトゾール分画のフォスフォリパーゼA2活性、及び大動脈から採血した血液のフォスフォリパーゼA2活性の測定をRIを使用して行った。同時に肝機能障害の指標としてGPTの測定を行った。 GPTは再潅流後、著明に増加した。肝組織中フォスフォリパーゼA2活性は、ミトコンドリア分画、サイドゾール分画ともに変化しなかった。しかしサイトゾール分画中にこれまで報告されていない新しい活性を見いだした。この活性が新しいフォスフォリパーゼA2であるかどうかについては、更なる研究が必要である。 血清中のフォスフォリパーゼA2活性は再潅流後、増加するような傾向が認められている。 肝虚血・再潅流に対して血清中のフォスフォリパーゼA2が関与しており、循環中のエイコサノイドの変化を裏付ける結果となった。この血清中の酵素の由来については、好中球など循環中の細胞より放出されたものか、肝組織中の酵素が貯蔵されることなく放出されたものなのかは不明である。
|