研究課題/領域番号 |
07771274
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00257841)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | プロスタグランジン / アロディニア / 痛覚過敏 / グルタミン酸 / 一酸化窒素 / 脊髄 |
研究概要 |
アスピリンの解熱鎮痛作用がプロスタグランジン(PG)の合成阻害によることはよく知られているが、申請者らは、生理活性物質として初めてPGE_2とPGF_<2α>がマウス髄腔内投与により、軽い触覚刺激(非侵害性刺激)に対して強い痛みを感ずる感覚異常、allodyniaを引き起こすことを報告した。このallodyniaは、難治性で慢性痛となる帯状疱疹後神経痛等の動物モデルとしてもきわめて有用である。申請者らは、このallodyniaを含めてPGの痛覚に及ぼす作用を脊髄レベルで検討して以下の知見を得た。 1)PGE_2による痛覚過敏に対するグルタミン酸受容体の関与 申請者らはPGE_2をマウス髄腔内に投与し、侵害性熱刺激を加えると痛覚過敏が出現すること、PGE_2による痛覚過敏はグルタミン酸受容体を介して引き起こされることを明らかにした。申請者らはさらに、ラット脊髄シナプトソームにPGE_2を灌流することにより、興奮性アミノ酸であるグルタミン酸、アスパラギン酸が遊離されることを明らかにした。 2)マウス髄腔内投与のPGE_2、PGF_<2α>によるallodyniaに対する一酸化窒素(NO)の関与 長期増強や長期抑圧は、興奮性入力に対するシナプス後ニューロンの反応が、短時間の高頻度刺激後、増大または抑圧したまま長く持続する現象であり、海馬や小脳での学習や記憶などと関連することから注目され、これらの現象にグルタミン酸受容体やNOを介することが知られている。申請者らはNOの前駆物質のL-アルギニンをマウス髄腔内に投与するとallodyniaが出現すること、PGE_2とPGF_<2α>によるallodyniaがNO合成酵素阻害剤やグアニル酸シクラーゼ阻害剤で抑制されることから、PGのallodyniaにNOが伝達物質として重要な役割を果たしていることを明らかにした。さらに、PGE_2によるallodyniaは、EP_1受容体、グルタミン酸受容体-NOを介して引き起こされるが、一度NOが活性化されるとEP_1受容体、グルタミン酸受容体拮抗薬ではブロックできず、NOが重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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