研究概要 |
研究の目的:精子形成過程におけるチロシンリン酸化機構を解析するために精巣に発現するチロシンリン酸化酵素(PTK)の遺伝子を単離後、発現している細胞を同定し、精子形成段階での遺伝子発現の量的、質的変化を解析する。 研究の方法:マウス精巣よりRNA抽出後cDNA合成、degenerate primerを用いたRT-PCRの実施。増幅された遺伝子片の単離、塩基配列の決定。ノザン解析、in situ hybridization法により発現細胞の同定、構造変化の解析。 研究の結果:100クローンのPCR産物をスクリーニングし7種類のPTK遺伝子(IGF-R, c-ros-1, c-kit, c-abl, flt3, fak, ctk)を単離した。IGF-R, c-ros-1, c-kit, c-abl, ctkは生殖細胞に発現することが既に報告されていたため新たにflt3, fakの解析を行った。flt3, fakともに生殖細胞(精母細胞、精子細胞)に発現することがノザン解析、及びin situ hybridization法によって確認された。ノザン解析により、生殖細胞では構造変化を起こしたfak遺伝子が発現することがあきらかになったため、これを単離し遺伝子構造の解析を行った。生殖細胞型fakの塩基配列を決定したところ、遺伝子構造の変化は蛋白質翻訳領域におよび、生殖細胞型fakと体細胞型fakとは異なる機能を有することが示唆された。
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