研究概要 |
無精子症患者のYq11上の遺伝子異常について検討した。外来を訪れる無精子患者より得られた末梢血からDNAを抽出し、これを遺伝子解析に供した。遺伝子解析にはスクリーニング法としてPCR法を用いた。Yq11上の遺伝子異常を検索するため、Yq11のある部分をコードする4個のプライマー(Y6HP52pr, Fr15IIpr, sY157, sY149)を作成し、microdeletionの有無を検討した。無精子症患者の内訳は13人がSertoli cell onlyで、12人がMaturation arrestであり、karyotypeはすべて46XYであった。25人にうち4人(16%)にmicrodeletionが認められた。13人のSertoli cell onlyでY6HP52prのmicrodeletionが3人に、Fr15IIprのmicrodeletionが1人に認められた。また、12人のmaturation arrestのうちの1人に4個のプライマーすべてにおいてmicrodeletionが認められ、Y6HP52prからsY157の大きなdeletionが認められた。このように無精子症患者に遺伝子のmicrodeletionが認められ、これらは無精子症発生と何らかの関連があるものと推測している。今後、さらに、プライマーを増やすことにより、無精子症に関連した遺伝子の解明につながるものと考えている。
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