マウスサイトメガロウイルス(MCMV)を全身感染させたマウスの膀胱に細菌を接種し、マウスの死亡率と経時的な尿中の生菌数の変化を観察した。マウスは5週齢のICRマウス、ウイルスはMCMVのSmith株、細菌は患者の尿から分離した緑膿菌と大腸菌を用いた。 MCMV接種1日後に膀胱内に緑膿菌を接種した場合、非致死量のMCMV(5.0×10^5PFU)を接種したマウスは全例死亡し、致死量のMCMV(6.0×10^6PFU)を接種したマウスでは死亡までの期間が短縮した。尿中生菌数は緑膿菌単独接種群に比べ、MCMV接種群の方が長期に多量の細菌を尿中に排出した。 1.0×10^5PFUのMCMVを全身感染させても、正常マウスの膀胱に1.0×10^7CFUの緑膿菌を接種してもマウスは死亡しないが、MCMV接種後3日、4日目にマウスの膀胱に同量の緑膿菌を接種するとマウスは全例死亡した。 1.0×10^5PFUのMCMV接種4日後に、種々の量の緑膿菌を膀胱内に接種した場合の死亡率は、1.0×10^7CFUで100%、1.0×10^5CFUで62.5%、1.0×10^3CFUで28.6%であり、ウイルス感染マウスでは微量の細菌を膀胱内に接種しても死亡率が上昇した。 MCMV接種1日後に膀胱内に大腸菌を接種した場合、尿中生菌数は大腸菌単独接種群に比べ、MCMV接種群の方が長期に多量の細菌を尿中に排出した。 以上より、マウスを用いて実験的に尿路感染症を作成したとき、ウイルス感染マウスでは死亡率が上昇するとともに、尿中生菌数が増加し、尿路感染症が増悪する現象を見いだした。
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