【目的】プロスタグランジンE_1の陰茎海綿体内注射テスト(PGE_1テスト)は、勃起硬度・周径増大の評価、color Doppler、DICC、pharmaco-angiographyなどの血管性インポテストの重要な検査に使用されている。われわれは、PGE_1テスト時の誘発勃起に影響を与える因子について調査した。【対象および方法】症例は、平成7年3月から平成8年2月の間に東邦大学大森病院リプロダクションセンターで陰茎海綿体内注射テストを行なったインポテンス患者114例で、PGE_120μg単独を使用したのは58例で年令は20〜80才平均43.2才をA群とし、PGE_120μgにメシル酸フェントラミン2.5mg(アルファブロッカー)を加え使用したのは56例で年令は20〜80才平均44.1才をB群とした。方法は、防音された個室のベッドに患者を寝かせRigiScanで陰茎硬度・周径増大の記録を行った。検者は個室の外からRgiScanの操作をしテレビモニターで患者を観察した。まず、患者にaudiovisual sexual stimulation(AVSS)を行ない最大陰茎硬度が70%に達しない場合に、血管作動薬陰茎海綿体内注射を行い、1)AVSS単独負荷 2)ストレス負荷(AVSSを止め検者が個室に入り陰茎の振動覚測定を行う) 3)AVSSとmanual stimulation(MS)(患者の手指による)の同時負荷をし、陰茎硬度・周径増大を経時的に記録した。【結果】A群、B群とも陰茎硬度・周径増大は、AVSSとmanual stimulation(MS)の同時負荷で最大になり、ストレス負荷で抑制されることがわかった。また、ストレス負荷による陰茎硬度・周径増大の抑制率は、B群が有意(t検定)に小く、PGE_1の陰茎海綿体内注射を用いた検査時に、検者が直接患者に触れるようなストレスがかかる場合はメシル酸フェントラミンを併用したほうが反応の抑制を少しでも予防できることがわかった。
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