研究概要 |
これまでにヒト移行上皮癌-SCIDマウス皮下Xenograftを作成し、継代移植してきた.2年間,5回(3から3ケ月ごと)の継代移植が可能であったXenograftは、ヒト腎盂移行上皮癌G3で術後M-VAC化学療法後6年目に再発し剖検で肺転移巣より得られた.これまでに,7例の移行上皮癌をSCID皮下移植を施行し,この内3例で2から3週の後,触知できる腫瘤形成を認めた.これらを用いて、これまでにCDDPの腹腔投与(単回または5分割)による発育抑制効果を検討した.移植後2週間で約1cmに発育するものを対象にし検討した.投与4週後に2方向の測定比較で対照群では4倍に成長した.これに対して,単回投与群では最小75%に縮小した後に4週後に280%,同様に5分割投与群(総投与量一定)では最小87.5%,4週後225%となった.つぎに同群を用いて電気穿孔法による直接効果と抗癌剤併用効果を同条件下(移植2週,径1cm)で検討した.これまで使用した抗癌剤はCancer 1993,72:3694-700に報告のあるBLMをまず用いた,電気穿孔法後3日目の近接効果としての直接効果は著しく,組織は蛋白凝固し白色化する.その辺縁は組織学的にも明瞭であった.現在の検討では,電気穿孔法の効果は,直接効果が大きく抗癌剤の増強効果については,これを越えるとことはないものと考えられる。
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