200日齢のSpr ague-Dawleyラット47匹を用い、(1)非妊娠群(実験開始時)、(2)妊娠初期群(妊娠7日目)、(3)妊娠中期群(妊娠14日目)、(4)妊娠後期群(妊娠21日目)、(5)産褥4日目非授乳群、(6)産褥6日目非授乳群、(7)産褥8日目非授乳群、(8)産褥8日目授乳群の8群に分けた。各群について、(1)DualenergyX-rayabsorptiometry法による第2〜5腰椎骨密度測定、(2)蛍光2重標識後屠殺、薄切標本作製し、骨形態計測によるパラメータ解析、(3)血中骨代謝パラメーター(カルシウム、リン、アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン)の測定を行った。 各群の腰椎骨密度(平均値±SD)は、非妊娠群(n=11)0.249±0.013 g/cm^2、妊娠初期群(n=3)0.230±0.008g/cm^2、妊娠中期群(n=2)0.254±0.001g/cm^2、妊娠後期群(n=6)0.210±0.022g/cm^2、産褥4日目非授乳群(n=7)0.215±0.013g/cm^2、産褥6日目非授乳群(n=7)0.224±0.020 g/cm^2、産褥8日目非授乳群(n=7例)0.227±0.013 g/cm^2、産褥8日目授乳群(n=4)0.213±0.030g/cm^2であった。 妊娠後期群は、非妊娠群に対して有意に骨密度が低値であり、妊娠の骨密度に対する負の影響が示唆された。産褥群はいずれも非妊娠群に対して有意に骨密度が低値であった。しかし、非授乳群では分娩後日数が経過するにつれ骨密度の増加傾向を認めたのに対し、授乳群では非授乳群に対して骨密度が低い傾向を認めた。これらより、ラットでは妊娠の経過とともに骨密度が低下し、産褥期には非授乳群では骨密度の回復を認めるものの、授乳群では骨密度が低下したままであることが示唆された。 なお、骨形態計測および血中骨代謝パラメーターについては、現在解析中である。
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