研究概要 |
今年度に行った研究により以下の新たな知見が得られた。 1.分化誘導能を持つビタミンとして知られているretinoic acid(RA)、vitamin D 並びにそれらの誘導体の絨毛癌細胞株に対する細胞増殖抑制能を、MTT assayにより検討した結果、RAについては all-trans retinoic acid(ATRA)、9-cis retinoic acid、13-cis retinoic acid のいずれも増殖抑制能を有していた。一方、vitamin D については 1,25(OH)_2D_3、22-oxa-calcitrol(OCT)ともに増殖抑制効果は認められず、乳癌細胞などとは異なる、絨毛癌細胞特有の反応性が見い出された。 2.RAのうちで最も細胞増殖抑制能の強かったATRAについて、methotrexate、actinomycin-Dといった抗癌剤との併用効果を調べた結果、ATRAあるいは抗癌剤それぞれを単独で用いた場合に比べ相加作用あるいはそれ以上の効果が認められた。 3.RA添加により絨毛癌細胞の形態には著明な変化は見られなかったが、hCG(human chorionic gonadotropin)分泌は有意に増加し、分化誘導作用の一つと考えられた。 4.RT-PCRによりATRA受容体遺伝子の発現はいずれの細胞株にも認められたが、抗腫瘍効果との相関については一定の傾向は見られなかった。
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