1.実験材料としては、3週令から4週令までの幼若雌ラット卵巣を用いた。PMSGを20IU/bodyの割合でラットの腹腔内投与した後、投与開始時を0分として、5分後、15分後、30分後、60分後、120分後の各ポイントで、PMSGで刺激された卵巣を、エーテル麻酔下に摘出する。これよりtotalRNAを抽出し、c-fosのcDNAprobeを用いてnorthern blottingを行いc-fosのmRNAの発現を検討したところ、PMSG刺激後15〜30分にその発現が最大となる可能性が示唆された。 2.現在、PMSG刺激後15〜30分間での変化をさらに詳しく解析検討するとともに、PMSG濃度を変えた場合の同様の実験も計画している。これにより、c-fosのmRNA発現とPMSGとの間の、時間的、濃度依存的関係を明らかにすることが可能と考えている。さらに、western blottingによりc-Fos蛋白の発現を実験遂行中である。fra-1、fra-2、fos-Bに関しても同様の実験プロトコールで行い、fos family遺伝子の発現を経時的に検討する計画である。 3.また、これまでの実験材料は幼若雌ラット卵巣であったが、estrus cycleのある成熟雌ラット卵巣についても行い幼若雌ラットの場合との間に差異が認められるかを検討してゆきたいと考えている。当初の計画ではRT-PCRでc-Fos関連蛋白の発現を定量的に測定検討する予定であったが、Fra-1、Fra-2、Fos-B蛋白発現量が少ないことが予想されるため、免疫組織化学的手法によって先にこれらの蛋白発現の程度を検討することとし、現在凍結切片を作成して、各種抗体で染色中である。さらに、fos family遺伝子のcDNA probeを用いて、in situ hybridizationを行いたいと考えている。 4.fos family遺伝子がjun family遺伝子とヘテロダイマーを形成して刺激伝達が行われることから、蛍光二重染色法により組織標本上でこれらの事象が起っているか否かについても検討することとしている。
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