研究課題/領域番号 |
07771403
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
斉藤 英子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80255512)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | β1-4 galactosyltransfcrasc / GAT / 卵巣癌 / ヌードマウス / 培養細胞 |
研究概要 |
GAT(癌関連ガラクトース転移酵素)は卵巣癌患者腹水中から精製されたガラクトース転移酵素で、卵巣癌患者血清中で上昇することが判明している。我々はこのGATに着目し、卵巣癌の新たな腫瘍マーカーとしての活用という見地から、過去5年間にわたり臨床的検討を行ってきた。その結果GATは卵巣癌患者血清中で上昇するばかりでなく、卵巣癌特異性も極めて高いことが判明した。そこでGATの腫瘍マーカーとしての実用化を目指しつつ基礎的データの集積をも行うべく、培養細胞レベルにおける産生能の確認、担癌マウス血清中のGATと腫瘍の動向との関係につき検討した。また同時に産生されているであろう腫瘍由来のGT(通常型のガラクトース転移酵素)との解離の有無についても検討した。 1.in vitro:卵巣癌由来の培養細胞株を用いて (1)GAT産生株の選別:卵巣癌株のうち、明細胞腺癌株のRMG-I、RMG-II、粘液性腺癌のRMUG-LがGAT産生の多い株であることが判明した。一方、卵巣低分化型腺癌であるRTSGではGAT産生がほとんど認められなかった。同時に検討した子宮頚癌株や子宮体癌株ではGAT産生が比較的少なく、培養細胞レベルでも卵巣癌にGAT産生株が多いと考えられた。 (2)培養細胞のGT産生能:上記の培養細胞ではいずれもGTの産生が確認され、しかもRMG-I、RMG-II、RMUG-Lにおいてその量が多く、RTSGや子宮頚癌株・子宮体癌株では少ないことから、培養細胞レベルではGTとGATの動向は一致することが判明した。 2.in vivo:担癌動物を用いて ヌードマウスを用いてRMG-I、RMG-II、RTSGそれぞれの担癌マウスを作成し得た。このうち、RMG-I担癌マウスの実験系を用いて腫瘍重量と、腫瘍のみから由来したと考えられるhuman GATの血中濃度が正の相関を示すことを確認し得た。 このように、培養細胞レベルでGATが卵巣癌培養細胞で産生されていること、担癌動物の体内で腫瘍の動向を反映していることを確認し得た。また、培養細胞レベルではGTとGATの動向は一致していたが、実際の患者血清中では両者の動向は一致せず、GATの方が腫瘍の動向を反映していることも確認し得た。この原因としてGATはほとんどが腫瘍からの産生物であるのに対して、GTは腫瘍以外から由来するものに修飾されやすいことが考えられる。今後はRMG-I担癌マウスの系を用いて腫瘍由来のGT、GATおよびマウス固有のGT、GAT量を検討し、この仮説を検証していく予定である。
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