研究概要 |
MAGE geneはメラノーマのみならず白血病や肺癌などにも発現している事が報告されており、また、発癌ウイルスとの関連性も示唆されている。また、宿主キラーT細胞の標的分子となりうる事も示唆されている。そこで子宮癌におけるMAGE geneのmRNAレベルでの発現について解析を行なった。子宮癌患者10例より摘出された腫瘍組織よりRNAzole法によりtotal RNAを抽出し、逆転写酵素SuperScriptおよびオリゴdTを用いてcDNAを合成した。得られたcDNAをテンペレートとして、MAGE geneサブタイプ(MAGE-1,-2,-3/-6,-4a/-4b)特異的プライマーを用いたPCR(polymerase chain reaction)を行ない、アガロース電気泳動法により解析を行なった。MAGE-3とMAGE-6、およびMAGE-4aとMAGE-4bはきわめて高い相同性を有するため共通のプライマーを使用した。その結果、10例中3例(30%)において、調べたいずれかのMAGE geneの発現が認められた。サブタイプ別では、MAGE-1の発現が陽性例3例のすべてに認められた。次いで、MAGE-3/-6が2例、MAGE-2およびMAGE-4a/-4bが各1例に認められた。MAGE-1、-2、-4a/-4bのいずれも発現している症例が1例存在した。今後、MAGE geneの発現とパピローマウイルスとの関連性について検討するとともに、患者末梢血よりMAGE特異的キラーT細胞の誘導を試み臨床応用への可能性を検討する予定である。
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