Hunt症候群の入院患者および外来患者から末梢血、咽頭拭い液、涙液(左右に分け)、唾液を検体として採取した。検体の採取は、入院患者の場合、第10病日まで連日、また外来患者は、初診時と2週間後の再診時の2回行った。水疱内容や水疱後の痂皮を認める患者では、これも検体とした。外来にて採取した検体を末梢血については、多核球と単核球に分離した後に、それぞれ遠心分離して凍結保存した。また、涙液、唾液、咽頭拭い液はPBSに懸濁した後に、それぞれ冷凍保存した。この保存した検体の一部(100検体)をPCR分析に用いて、今回対象とした水痘帯状疱疹ウイルスDNA(VZV-DNA)の存在について検討を行った。 末梢血は、従来の報告ではVZV-DNAが検出されていた。しかし、我々の検体では、末梢血、患側の涙液と唾液のいずれの検体においてもPCR分析においてVZV-DNAは検出されなかった。しかし、水疱および痂皮からはVZV-DNAが検出された。 今回の検討では、従来の報告と異なり、末梢血中にVZV-DNAを検出することはできなかった。このような結果がなぜ生じたのか、今後は、麻痺発症から何日目の検体か、あるいは、臨床的にヘルペスの発現から何日目の検体であるかなどを考慮に入れて更なる検討が必要と思われる。また、抗ウイルス剤の投与された群と投与されていない群の間でどのような差違が出現するかも検討を行い、抗ウイルス剤の効果について検討を行っていく予定である。
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