研究課題/領域番号 |
07771428
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 健 東京大学, 保健管理センター, 助手 (50251286)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 内リンパ水腫 / 蝸牛基底板振動 / 蝸牛モデル / 耳音響放射 / 外有毛細胞 |
研究概要 |
(1)蝸牛モデルの作成 蝸牛基底板の動きを模擬するため、400セグメントの電送線モデルをコンピュータ上に構築した。大型計算機を使用する予定であったが、RISCチップを搭載したパーソナルコンピュータが十分な速度を発揮したため、これを用いた。電送線が1系統(自由度1)のモデルは安定性が高いが、チューニング特性はあまり良くなく、2系統(自由度2)のモデルは、チューニングは良好であるが、安定が悪く、また演算時間が自由度1のモデルの約100倍必要であった。 (2)ヒトの耳音響放射の測定 誘発耳音響放射による検討では、内リンパ水腫を病態として持つと思われる症例で聴力低下が軽度のものに、グリセロール負荷を行い、変化を観察した。負荷後は反応波形の周波数が、低い方へシフトする例と、不変であるものが存在した。歪成分耳音響放射での同様な検討では、低音部に反応振幅の増加が見られ、誘発耳音響放射の変化に相応した。対側耳へのノイズ負荷の実験では、健常耳の結果と、本質的な差は見られなかった。 (3)動物の耳音響放射の測定 モルモットの実験では、誘発耳音響放射の記録が不安定であったため、専ら歪成分耳音響放射を用いた。内リンパ水腫を作成する操作を行うと、耳音響放射の振幅は全周波数で低下を見たが、その程度は低音部の方が強かった。利尿剤投与により、振幅は増大する傾向にあったが、未だ例数が十分でないので、確定するに至っていない。 (4)蝸牛モデルのパラメータを利用したフィッティング 以上の変化は、1自由度のモデルにより、定性的・一部定量的に再現可能であった。対側音負荷による変化は、外有毛細胞の能動的増幅作用を小さくすることで、また内リンパ水腫耳の変化は、基底板のコンプライアンスを基底板全長にわたり低下させることでシミュレート可能であった。2自由度モデルは、安定を欠くものの、後者に関してはほぼ同様の結果となった。
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