研究概要 |
1、装具の試作 硬質プラスチックと軟性シリコンの組み合わせで作製を予定していた声帯麻痺治療のための音声調整装具(インプラント)は、麻痺声帯の位置を調整するために約1cmの幅で軟性シリコンの伸展を必要とする。そのため現在市販されている株式会社「高研」製の硬度、軟、中、硬の3種類のシリコンを用いてモデルを作製した。しかしどの堅さにおいてもシリコンの伸展度は満足できるものではなかった。そのため可動部分に成形したシリコンブロックを用いるのではなく、現在市販中のシャーリ-社製のチタニウムマイクロプレートとチタニウムスクリュー(ネジ)を用いることで検討を加えた。 (1)甲状軟骨へのインプラントの固定のついて チタニウムマイクロプレート(H字型)を同製のスクリューで甲状軟骨に固定した。これらは,現在市販中の製品であり生体内でも安全で強度も十分であった。 (2)声帯位の調整について チタニウムスクリューで今回試作した舟形のインプラント(当初チタニウム製を予定したが形成が困難なため18Kを鋳型に流し込んで作製)を押し込むことで調整を行うことにした。 2、結果 摘出ヒト喉頭に対して試作した装具を装着し検討した。その結果、声帯位は、スクリューで舟形のインプラントを押し込むことによって当初の計画通り移動し,声帯位の調整を行える事が確認できた。 3、今後の検討項目 インプラントの材料と声帯との適応性については,ほぼ問題のないものと思われるが,インプラントの構造上の問題点については検討する必要がある。つまり甲状軟骨に固定したマイクロプレートと声帯を押し出す働きをする18K製の舟形の間には空間ができるためこの死腔となる空間が生体に対してどのような影響を及ぼすのかを検討する必要がある。この点に関しては今後,検討する予定である。
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