研究概要 |
Fos、Jun蛋白のproto-oncogene c-fos、c-junの抗体を用い種々のにおい刺激に対して嗅球内の細胞において誘発される細胞群を検索し、若干の知見を得たので報告する。 1.嗅刺激 成熟雄性SDラットを20cm×23cm×27cmの箱に入れ、一定濃度の1-ブタノール(70ppm)及び酢酸(50ppm)を下記の条件で吸入させた。 連続刺激 30分刺激後放置 ブタノール 〜120分 〜1日 酢酸 〜60分 〜1日 2.組織の処置 0.9%食塩水200ml、燐酸緩衝4%パラホルムアルデヒド500mlで潅流固定して嗅球を摘出。摘出嗅球をミクロトームで凍結薄切し、厚さ40μmの切片を作製した。 3.反応 Fos抗体(CRB社)、Jun抗体(Oncogene)を用い、ABC法の後DAB発色させた。 4.結果 1.Fos 連続刺激により、中枢でのFos出現に比べかなり早い時期にピークに達し、その後消失する。酢酸刺激の場合、45分をピークに60分後には僧帽細胞層での陽性細胞は消失した。ブタノール刺激の場合、60分をピークに2時間後には僧帽細胞層での陽性細胞は消失した。 30分刺激後放置した場合、Fos発現はいったん消失するが、その後再び出現した後に消失するといった二峰性のカーブを描く。酢酸30分刺激の場合、4、5時間後にFos陽性細胞はいったん消失するがその後6時間後には再び出現する。ブタノール30分刺激の場合、30分,1時間後にFos陽性細胞はいったん減少するが、その後6時間後にピークに達し、その後にやや減少する。 2.Jun 連続刺激によりJun発現は上昇ののち消失または現象するがその後再上昇を認めた。 30分刺激後放置した場合Jun発現は上昇ののち減少するがその後再上昇を認めた。
|