1.目的 主波長440nmの青色光をブタ感覚網膜に照射し、照射エネルギー(照射量・照射時間)と過酸化脂質の生成量との相関を調べ、これが、紫外線照射の場合と異なるのかを生化学的に検討した。 2.方法 光源として250Wキセノン放電管(UL250 HOYA-SCHOOT(株))を用い、フィルターを用いて主波長が390nm、440nmの2種類の透過光をブタ感覚網膜のホモジネート液に照射し、thiobarbiturate acid(TBA)法により、過酸化脂質の生成量を経時的に測定した。過酸化脂質はその分解産物であるマロンジアルデヒド(MDA)を内山・三原らの方法に準じて定量した。 3.結果 各照射時間とも440nmの青色光照射により近紫外〜紫外線である390nm照射と同程度の過酸化脂質が産生され、可視光線短波長成分にも比較的強い光毒性があることが示唆された。 4.考察 近年、急増し光線障害との関連性が指摘されている老人性黄斑変性症が紫外線のみならず青色光の慢性暴露と深く関わっている可能性が考えられた。また、遮光眼鏡や眼内レンズの透過率特性、照明光の分光分布を決定する際には青色光の有害性にも配慮する必要がある。
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