ステロイド緑内障における眼圧上昇のメカニズムを調べるため、実験的ステロイド緑内障家兎眼の線維柱組織を電子顕微鏡標本を作製して検索した。 生後約1.5ヶ月の白色幼若家兎を一週間無処置で飼育後、ステロイド投与群と対照群の2群に分けて実験を行った。ステロイド投与群には酢酸メチルプレドニゾロン(デポメドロール^<【O!R】>)40mg/ml、0.1ml/kgを毎週1回づつ結膜下注射し、対照群には酢酸メチルプレドニゾロンと同量の生理食塩水を結膜下注射した。約1〜3週間でステロイド投与群は対照群に比べ眼圧の上昇が認められた。10mmHg以上の眼圧上昇の認められたステロイド投与の家兎群と対照群の家兎の前房にhorseradish peroxidase(HRP)を注入し、一時間後頚動脈の留置カテーテルより2.5%glutaraldehyde溶液を注入して潅流固定し眼球を摘出した。摘出した眼球より隅角部の組織を実体顕微鏡下で切り出し、電顕標本を作製し房水流出路を観察した。同様の実験をHRP投与から潅流固定までの時間を変えて行ったところ、ステロイド投与群の家兎眼線維柱組織内でのHRPの局在は対照群に比べ時間的な遅れが認められた。これは、家兎眼線維柱組織内での房水流出抵抗が増大したためと考えられた。房水の流出路および流出機構には差が認められないと思われた。 現在は家兎眼線維柱組織内での房水流出抵抗の増大部位と抵抗増大の原因について検索中である。
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