HTLV-Iと涙液減少や乾性角結膜炎との関連性を検討するために、HTLV-I-associated myelopathy(HAM)130眼(男40眼女90眼)、HTLV-Iキャリア64眼(男26眼女38眼)、HTLV-I悲感染者103眼(男60眼女43眼)を対象とし、シルマ-試験I法(点眼麻酔下)、涙液層破壊時間測定、フルオレセイン試験、ローズベンガル試験を行った。シルマ-値の平均(mm)は、HAM男7.5女7.5、HTLV-Iキャリア男5.6女6.8、HTLV-I非感染者男7.7女6.3で、有意差はなかった。シルマ-値が5mm以下または涙液層破壊時間5秒以下を示し、涙液層の質的及び量的異常があると判定したのは、HAM男40眼中15眼(37.5%)女90眼中33眼(36.7%)、HTLV-Iキャリア男26眼中18眼(69.2%)女38眼中18眼(47.4%)、HTLV-I非感染者男60眼中27眼(45.0%)女43眼中29眼(67.4%)であった。涙液層の異常と角結膜上皮障害が認められ、乾性角結膜炎と確定診断されたのは、HAM男40眼中5眼(12.5%)女90眼中6眼(6.7%)、HTLV-Iキャリア男26眼中4眼(15.4%)女38眼中5眼(13.2%)、HTLV-I非感染者男60眼中6眼(10.0%)女43眼中7眼(16.3%)であった。HAMおよびHTLV-Iキャリアにおける乾性角結膜炎の頻度は、HTLV-I非感染者における頻度と有意差はなかった。 また、HTLV-I非感染者39例(ATL 1例、HAM7例、HTLV-Iキャリア31例)を対象とし、涙液中にHTLV-Iが存在するかどうかを検討した。血液とシルマ-試験紙に付着した涙からDNAを抽出し、PCRを用いてHTLV-Iプロウイルスゲノムを検索した。血清抗HTLV-I抗体価は256〜8192倍であった。血液では33例中26例(78.8%)でHTLV-Iプロウイルスゲノムが検出された。涙では39例中3例(7.7%)でHTLV-Iプロウイルスゲノムが検出された。血清抗HTLV-I抗体価や全身疾患とウイルスゲノムが検出率との間に関連性はなかった。
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