【目的】原田病は日本人に多くみられるぶどう膜炎である。我々は原田病の髄液細胞、前房内炎症細胞の細胞表面マーカーは、末梢血にくらべT細胞が有意に多く、活性化T細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞が局所免疫については重要な役割を持っていることを報告してきた。末梢血、髄液細胞とこれらの細胞に関してFas抗原の発現率を検討した。 【対象、方法】原田病と診断された新鮮例の髄液細胞、末梢血を治療前に採取した。これらのリンパ球細胞表面マーカーを二重染色し、フローサイトメトリーにて解析した。末梢血については、正常人とも比較検討した。 【結果】患者髄液細胞のリンパ球におけるFas発現率は患者末梢血と比較し増加していた。患者髄液細胞ではCD4陽性細胞の占める割合は、患者末梢血と比較し高く、Fas発現率も85.6%と有意に高かった。また患者髄液細胞ではCD45RO陽性細胞のFas発現率は96.3%と高く、患者末梢血と比較し有意に高かった。患者末梢血のFas発現率は、正常人末梢血と有意差はなかった。 【結論】炎症の主座である患者髄液細胞のリンパ球におけるFas発現率は、いずれも患者末梢血と比較すると増加していた。患者髄液細胞のCD4陽性細胞であるヘルパーT細胞が炎症の主体であり、髄液細胞中に出現する炎症細胞においては、CD8陽性細胞、CD19陽性細胞も活性化されていました。
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