研究課題/領域番号 |
07771596
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30267596)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | シスプラチン / 腎障害 / エブセレン / ラット / 軽減作用 |
研究概要 |
シスプラチン(CDDP)は有効な制癌剤であるが、その副作用として腎障害が発現するため、臨床使用において大きな制限が加えられる。シスプラチンの腎障害発現の機序については十分解明されていないが、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などの活性酸素が関与していると考えられている。近年、脂質過酸化物や過酸化水素等の消去作用を持つ有機セレン剤エブセレンが脳血管疾患の治療薬として開発されている。本研究はエブセレンによるCDDP誘発腎障害の軽減効果について検討した。「実験方法」動物は雄性SD系ラット(8週齢)を用い、対照群(生食投与)、CCDP6.5mg/kg単独投与群、エブセレン7.5mg/kg単独投与群、(エブセレン7.5mg/kg前投与+CCDP)投与群、(エブセレン5.0mg/kg前投与+CCDP)投与群、(エブセレン2.5mg/kg前投与+CCDP)投与群の6群に分け、1群5匹とした。腎機能検査項目は血液中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cr)、24時間クレアチンクレアランス(Ccr)および尿中β_<2->ミクログロブリン(βMG)である。「結果および考察」対照群およびエブセレン7.5mg/kg単独投与群では、血中BUNやCrおよび尿中βMG等の上昇は見られなかった。CCDP6.5mg/kg単独投与群では投与5日目にBUN、Cr、βMGの著しい上昇が認められ、組織学的所見でも近位尿細管のほぼ全域にわかる細胞障害が見られた。エブセレン2.5,5.0そして7.5mg/kgをCCDP投与30分前に投与した5日目の結果では、エブセレン2.5mg/kg前投与+CCDP投与群のBUN、Cr、βMG値がCCDP単独投与群より有意に低下しており、CCDPによる腎障害の軽減効果が認められた。組織学的にも近位尿細管に小範囲で部分的な細胞障害を認めるのみであった。一方、エブセレン5.0と7.5mg/kg前投与群ではCCDPの腎障害軽減効果は軽度であった。以上のことから、エブセレンはCCDP誘発腎障害に対し軽減作用をもつが、その効果は非用量依存性であることが明らかとなった。
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