研究概要 |
本研究では嚥下時の軟口蓋の役割を解明するため、乳児期のラットを用い実験形態学的に解析を行った。 軟口蓋組織の挙動を調べるためコラーゲン(TYPE I,III,V)ならびに細胞外マトリックス(ラミニン(LA)、テネイシン(T)、フィブロネクチン(FN)をABC法を用いて顕微鏡で経時的に観察した。またコラーゲンのネットワーク構造について、同じステージのラットを走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。 ラット乳児期の軟口蓋においては、まず生後1日目に上皮、3日目に基底膜、結合組織と口腔側の組織よりTYPE Iコラーゲンが形成された。次に、それを補強するかたちでTYPE III,Vのコラーゲンが遅れて形成され、より強固なネットワーク構造を構築した。コラーゲンのネットワーク構造が構築られた後、LA、Tがその組織の中に現れることが観察された。 この口腔側の組織から内側へと発達していく一連の過程は、成長に伴い何度も繰り返されることが観察された。 以上の結果より、乳児期ラット軟口蓋における組織の発達は、表皮、上皮、基底膜、結合組織と口腔内からの刺激を受けやすい部位から順により強固で柔軟な構造を形成し、その後細胞の発達、組織の発達が起こってくると考えられる。
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