研究概要 |
屠殺直後の牛骨から宇治ら(1992)松本歯学VOL.18: 244-249.が報告した方法にしたがってBMPの抽出,精製を行い,得られたBMPと担体としてのスクアランとを種々の配合比で調整し,実験に用いた.実験には,体重約25gのddY系雌性4週齢のマウスを供した.実験に先立ちエーテルの吸入による全身麻酔下にメスで皮膚に切開を加え,鈍的に剥離した背部皮下組織から大腿部筋膜下に,ゼラチンカプセルに容れた種々の配合比のBMP-スクアラン混合物を埋入した.埋入後4週間後迄,経時的にそれぞれのマウスから埋入部組織を一塊として摘出し,10%ホルマリンで固定した後,Softex CBMによって軟X線写真を撮影した.その後,摘出物のX線画像をMicro ScannerによってMacintoshのPhotoshop上に取り込み,画像の反転操作を行った.その反転画像からClin. Orthop. 誌上にKawai & Urist(1988)の発表したBMPによって形成された骨組織の定量の為の画像解析システム(Assay BMP PASCAL)を用いて定量的に検索した.骨形成部分の不透過像を構成する画素数を計測したところ,実験群は586.14±25.21で,これは対照群の418.14±21.45と比較して平均で40%高く,分散分析によって5%の危険率で有意差があることが認められた.以上の検索結果より,スクアランを担体としたBMPは異所性骨形成に極めて有用なものであると思考された.今後は,これを用いて生活断髄後のdentin bridgeの形成や抜髄後の根端孔の閉鎖について本研究を継続していく予定である.
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