CTによる顎骨の骨塩定量を目的として、Spiral CTで得られた体積データからの顎骨の構造を考慮したアルゴリズムによる骨塩定量の可能性について検討した。本法による皮質骨、海綿骨の抽出方法の検討、本法とAl当量画像の比較を行った。CT画像とデンタルX線写真のAl当量画像を比較するために、CTの3次元データからデンタル撮影をシミュレートした画像を作成した。CT装置はSiemens社製Somaton-Plusで骨塩定量ファントム、乾燥下顎骨を入れた水円柱を撮影し横断画像を作成した。得られた画像データを光磁気ディスクによりパーソナルコンピュータに転送し、横断画像のデータから顎骨に垂直な断面像を再構築した。これらの画像から皮質骨・海綿骨を自動的に抽出するアルゴリズムを用いて、頬側・舌側の皮質骨および海綿骨領域を抽出した。CTのデータから、デンタル撮影と同様な投影画像を、皮質骨のみ、海綿骨のみの画像を作成した。コンピュータはNEC社製PC9821Xs、ソフトウエアはMS-Windows上のVisual BASICを用いて作成した。 皮質骨領域の抽出するため断層像を二値化・細線化し、皮質骨の中心線のそれぞれの点で垂直にスキャンし、プロファイルからピーク高さに対して80%のしきい値を設定し、皮質骨・海綿骨領域を決定した。皮質骨の領域の位置情報によりオリジナル画像から皮質骨のみ、海綿骨のみのデータを取り出し、デンタル撮影と同様に投影した画像を表示した。この画像から歯槽骨領域を設定してその骨塩量、体積、厚さを測定した。骨塩量についてAl当量画像と比較した。CTから見た骨塩量と当量画像から得られた骨塩量は高い相関を示した。下顎骨ファントムの皮質骨と海綿骨のそれぞれの体積・骨塩量の比は、体積の比は8:2であった。骨塩量の比は約6:4であった。
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