歯周病原細菌と考えられているPorphyromonas gingivalisのLPSは、LPS不応答性C3H/HeJマウスに対して活性を示すことが報告されている。今回、P. gingivalis LPSからリピドAをLPSを1%酢酸で100℃、2時間処理後クロロホルム/メタノール(1:1)により抽出し、PCP混液に溶解回収し、イオンクロマトグラフィーおよびSephadexLH-20を用いて精製した。 P. gingivalisのリピドAは、LPS不応答性C3H/HeJマウスの脾細胞に対して明らかなマイトゲン活性を示した。また、LPS応答性C3H/HeNマウスおよびLPS不応答性C3H/HeJマウスのチオグリコレート刺激腹腔マクロファージを、10、1、0.1μg/ml濃度のP. gingivalis LPS、リピドA、およびSalmonella typhimurium リピドAで刺激した培養上清中のIL-1、IL-6およびTNF量を測定して検討した結果、本リピドAは、LPS応答性C3H/HeNマウス腹腔マクロファージから、S. typhimuriumリピドAと同程度のIL-1、IL-6およびTNF-α産生を誘導した。さらに、C3H/HeJマウスに対するサイトカイン産生誘導能はC3H/HeNマウスの場合と比較しても低いものの、明らかにIL-6およびTNF-α産生を誘導した。 また、FITC結合抗体を用いてP. gingivalisおよびS. typhimurium とマウス細胞との結合性をフローサイトメーターにより解析した結果、P. gingivalisLPSは、LPS応答性C3H/HeNマウスの胸線細胞、脾臓細胞、ならびに腹腔マクロファージに対して、濃度依存的に結合スすることが確認された。この結合強度は、LPS不応答性C3H/HeJマウス細胞に対しても同様の結果であった。LPSレセプターとしては、細胞膜表面のCD14分子が考えられているが、マウスCD14に対する抗体が発売されたので、この抗体を使用して、LPS応答性C3H/HeNマウスおよびLPS不応答性C3H/HeJマウスの腹腔をマクロファージ上のLPSレセプター分子が同一のものであるかを今後検討する予定である。
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