研究概要 |
歯肉T細胞のクローニングに先駆けて、患者末梢血よりT細胞を分離し、Porphyromonas gingivalis(P.g)特異的歯肉T細胞クローンの確立を行った。中等度から高度の成人性歯周炎と診断された患者について、初診時に深い歯周ポケット内の細菌検査とELISA法による血清抗体価の測定を行った。そのうち歯周ポケット内よりP.gが検出され、かつP.gに対する血清抗体価の高い患者2名と、コントロールとして健常人1名を被験者とした。細胞の長期培養に必要な抗原提示細胞を確立するため各被験者より末梢血を採取し羊赤血球を用いたrosette法にてnonT細胞を分離しEBvirusに感染させ、リンパ芽球様細胞株(LCL)を確立、マイトマイシンC処理をして用いた。P.gingivalis抗原として、P.gingivalisの外膜成分(OM)を精製し、リンパ球増殖反応にて得られた至適濃度である0.2μg/mlにて用いた。P.gOM刺激にて得られたT細胞株を、lcell/wellの条件でLCLとともに、P.gOM,PHA(1μg/ml),IL-2(20U),IL-4(100U)を加えた培養液で数週間培養した。顕微鏡下で増殖してきたwellを選び、1、2週間毎に培養液を交換し増殖させた。ある程度細胞が増えたところで、フローサイトメーターにて、細胞表面マーカーの検索を行ったところ、CD4陽性のT細胞であった。またフローサイトメーターによるサイトカイン(IL-2, 4,IFN-γ)産生細胞の検出方法について末梢血単核細胞を用い検討した。PHAで刺激した24時間後には7.2%、48時間後には30%のIL-2産生細胞がフローサイトメーターで測定できた。IL-4産生細胞はCD4陽性細胞の3.1%の細胞が産生し、IFN-γ産生細胞はCD4陽性細胞の16.2%の細胞が産生した。以上のサイトカインについてフローサイトメーターによる解析が可能となった。
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