本研究では、骨吸収過程におけるOPNの役割を明らかにすることを目的として、ストローマ細胞と骨髄細胞の共培養系を使用して破骨細胞の分化と骨吸収能に及ぼすOPNの影響について検討した。マウス破骨細胞のOPN遺伝子発現は、MC3T3-G2/PA6細胞上に1×10^4cells/dishのマウス骨髄細胞を播種し、αMEM中で7日間培養後4%パラホルムアルデヒドで固定し、Digoxigenin標識OPN RNAプローブを用いてin situ hybridization 行った。その結果、破骨細胞にOPN遺伝子の発現が確認された。なお、破骨細胞の同定はTRAP染色と象牙質切片上での吸収窩形成能により行った。次に、OPN antisense ブロック法による破骨細胞の分化と骨吸収能の変化の測定は、OPN antisense(5′-AATCACTGCCAATCTCAT-3′)およびOPN sense(5′-ATGAGATTGGCAGTGATT-3′)をDNA synthesizerにより合成し、それらを象牙質切片上の共培養系に添加し7日間培養した。その後TRAP染色を行い、TRAP腸性細胞数の変化及び単核細胞と複数核細胞数の比率変化を測定した。更に、OPN antisenseおよびsense添加群と未添加群の象牙質切片上における吸収窩面積を画像解析装置を用いて測定した。その結果、共培養開始時にOPN antisenseを加えたものでは培養7日目においてTRAP陽性細胞数はControlに比較して減少し(OPNantisense; 30.3±3.4、OPNsense;58±6.5、Control; 56.9±12.4cells/1×10^5μm^2)、また、細胞の単核:複数核比も変化した(OPN antisense; 80:20、OPN sense; 60:40、Control; 60:40)。また、象牙質切片上の吸収窩の割合もOPN antisenseの添加によって減少した(OPNanti-sense; 246813、OPN sense; 296234、Control; 303139μm^2)。以上の結果よりマウス破骨細胞はOPN遺伝子を発現し、破骨細胞の分化と骨吸収過程を制御していることが示された。
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