研究概要 |
ポーセレンジャケットクラウンは歯冠修復物の内で最も優れた審美性を有し,生体親和性がよいなど数々の利点をもっているが,強度が比較的低いという欠点も併せもっている.これを改善するための基礎的検討として,三次元有限要素法を用いたシミュレーションを行い,ポーセレンジャケットクラウンの形態を変化させた場合に応力集中部がどのように変わるかを調べ,破析しにくいクラウンの形態とそのための支台形態について検討し、さらに強化された陶材を用いた場合についても調べ,陶材強化材の有効な使用法についても検討することにした. 特に本年度は三次元有限要素法による応力解析を行う際、その精度に直接関わる精密な解析モデルを効率よく構築することに留意し,臨床的形態の基本モデルを作った上で種々条件を変えての検討を行うことにした. 従来のパーソナルコンピュータを用いた解析では,データの容量が大きい精密なモデルは扱えなかったが,本補助金を受けてワークステーションを導入し,ネットワークを介して大型計算機の利用が可能になった. その結果,作業が著しく能率的になった.また大型計算機では諸条件を詳しく設定することによって,静的な解析だけでなくセメント層の崩壊や剥離も考慮した精度の高いシミュレーションが行えることがわかった. しかしモデル構築には修正をしながら大量のデータを扱うので,種々条件を変えての解析までは行えなかった. これは,今後さらに検討を続け,必要に応じて適当なCADソフトを利用するなどさらに効率化を図ることで早期に実施できると思われるので,当初目的を達成するため引き続き検討を行って行きたい.
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