研究概要 |
審美性に優れた歯科用陶材の築盛作業をコンピュータを用いて自動化するための基礎的な研究を行った.築盛に際して,築盛体の湿潤状態の管理とコンデンス作業は築盛体の良否を決める重要な因子であると考えられる.本研究では,築盛体に含まれる水分量を非接触的に測定する方法の一つとして,築盛体を照明し,その反射光の強さから陶材の湿潤状態を推定することを試みた. 反射光測定用の試験片としてオペーク色陶材を焼成したステンレス板にボディ色陶材粉末をのせたものを試作の自動築盛装置にセットし,蒸留水の射出を繰り返したときの反射光の強さの変化を測定した.コンデンスの有無に関わらず,初め反射光は弱く,ほとんど変化がみられなかった.これは反射が主に拡散反射によるものであり,また乾燥した陶材粉末に蒸留水が供給されてもすぐに内部に吸収されてしまったためと思われた.蒸留水の供給量が増すにつれ,反射光は次第に強くなった.これは粉末全体が湿った状態になり,余剰水分が表面に浮き出てくることによて試料表面が鏡面反射するようになったためと考えられた.コンデンスの有無の影響を見ると,コンデンス有りの方が同じ供給量でも反射が強かった.これは陶材泥に振動を加えることによって,コンデンス無しの場合より多くの余剰水分が表面に浮き出てきたためと考えられた. 以上の結果から,反射光の強さを測定することによって,築盛体の湿潤状態を推定できることが分かった.また測定に際してコンデンスの有無が測定値に影響を与えるということが明らかになった.
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