研究概要 |
本研究はチタンおよびチタンの合金の,部分床義歯への応用を目的として行われ,実験的研究ならびに臨床的研究の結果,その有効性や問題点などについて,いくつかの重要な知見を得ることだできた.具体的な実績は以下の通りである. 1)義歯の耐久性を確保する上で重要な要因となる,義歯床用レジンとチタンおよびチタン合金との接合強度に関する基礎的研究を行い,金属接着性モノマーを含有する床用レジンを用いたとき,両者の間の接着強さはきわめて良好であることを明らかにした.(日本補綴歯科学会雑誌,1995,39(2),333〜340に掲載) 2)チタン合金の中でも,超塑性チタン合金(Ti-6Al-4V)を利用した新しい義歯の臨床応用を試み,その術後経過からいくつかの興味深い知見を得た.(日本補綴歯科学会雑誌,1995,39(93),22に掲載) 3)超弾性とよばれる特異な性質を持つチタン合金(Ti-Ni)を利用すれば,長期間使用しても維持力が衰えて「ゆるく」ならない義歯を製作できる可能性がある.この義歯の維持力に関する未知の性質を,基礎的な研究により一部明らかにした.(歯科材料・器械,1995,14(26),324〜325に掲載) 4)前述の超塑性チタン合金床義歯の適合性に関して,実験的な研究により興味深い結果を得た.(歯科チタン研究会論文集,1996,1〜2に掲載) 以上すべての研究を遂行するにあたり,平成7年度科学研究費補助金が不可欠な財政的支援としての役割を果たした.
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