研究概要 |
本年度は先ず顎機能正常者群のパラメーターの調査ならびに顎機能異常者群のパラメーターとの比較を行うことを目的とし、側貌規格断層エックス線写真撮影を行った。すなわち、予備実験的に顎機能正常者5名を選択し、1名につき咬頭嵌合位、下顎安静位、10mm開口時、20mm開口時、30mm開口時、40mm開口時、最大開口時の計7枚の側貌規格断層エックス線写真の撮影を行い、事前に設定した各種頭蓋パラメーターおよび各頚椎(C1〜C7)パラメーターと基準線との角度や距離を計測した。同時に各頚椎の形態、配列(湾曲度)、頚椎間距離、歯突起の偏位や骨棘の有無を調査し、上述のパラメーターの正常域を算出した。顎機能正常者群では順次開口させるに従って、頭蓋部の角度(SN平面を代表とする)はいったん小さくなり,さらに開口が進むと角度は大きくなる傾向が見られた。これに対して、各頚椎は開口するに従って、角度が小さくなる傾向が見られた。 C1〜C7神経の支配領域の随伴症状(頭痛、肩こり、耳鳴りなど)を有する顎機能異常者5名を選択肢、随伴症状の有無、程度をアンケートにて調査した。この5名に対して顎機能正常者群同様、1名につき咬頭嵌合位、下顎安静位、10mm開口時、20mm開口時、30mm開口時、40mm開口時、最大開口時の計7枚の側貌規格断層エックス線写真の撮影を行った。さらに顎機能正常者群にも随伴症状の有無、程度を顎機能異常者同様アンケートにて調査した。顎機能正常者群と比較して、顎機能異常者群の頭蓋部の角度(顎機能正常者群同様SN平面を代表とした)は開口させていっても、小さくなることなく増加傾向を示した。これに対して各頚椎は顎機能正常者群同様、開口させるにつれて角度が小さくなる傾向が見られたが、角度は顎機能正常者群の方が小さかった。
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