研究概要 |
近年,医科,歯科領域を始めとして農業,食品などの各分野において強酸性水が広く利用されている.筆者らはこれまでに強電解水生成装置「OXILYZER」により得られる強酸性水と強アルカリ水を歯科領域へ応用することを目指し,基礎的研究を行ってきた.その結果,強酸性水は口腔内細菌に対して瞬時に強い殺菌力を示し,口内炎患者に対する口腔含嗽剤としての応用,歯肉炎,歯周炎患者に対する歯周ポケット洗浄剤としての応用の可能性等が示唆された.また,強アルカリ水はタンパク溶解作用,洗浄効果を持つため,義歯洗浄剤としての応用の可能性が示唆された.しかし,現在多くのメーカーより供給されている強電解水生成装置から産生される強電解水の性状や殺菌力には,各装置間で差異があることが予測された.そこで今回強電解水生成装置の中から代表的な機種を5機種選択し,それらから産生される強酸性水の生体親和性ならびに殺菌作用を検索した.その際それぞれの強酸性水を蒸留水ならびに生理食塩水で希釈した場合も同時に検索した. 検索の結果,各強酸性水原液は,現在臨床で使用されている各種消毒剤と同等またはそれ以上の生体親和性をもつが,装置間でかなり差異が認められること,また殺菌作用にも装置間でばらつきがあることが確認された.蒸留水,生理食塩水で希釈を行った場合には生体親和性は向上するが,殺菌力は5倍程度の希釈によりかなり減弱されること,またその際の変化は生理食塩水で希釈した場合の方が大きいことが明らかとなった.現在これらの検索結果より,生体親和性が高く,殺菌力が協力な強酸性水の性状を求めるためさらに研究を進めている.
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