Hi Lite^<TM>による漂白処理で歯質表層の変化を電顕的に観察し、若干の知見を得たので報告する。 漂白処理を1、3、5回行い歯質表層の変化を電顕的に観察した結果1回処理群ではエナメル質表面の持つ構造に対照群と比べて顕著な変化は認められなかった。3回及び5回処理では、エナメル質表面は非処理群と比較して泡立つような粗い表面構造を示すとともに、直径2μm程度の不定形な濃度の濃い斑点状の陥凹構造を示した。また元素分析においてはPとCaの元素強度は対照群と比べて若干高い値を示す傾向を得た。 37%リン酸エッチングによる処理群では歯質表層の変化は漂白処理に比べて極めて大きいものであった。元素分析ではPとCaの元素強度は対照群に比較して明らかに低い傾向を示した。 以上の結果よりHi Lite^<TM>による漂白処理1〜5回によりエナメル質表層における構造的、ならびに形態的な変化は極めて微小であるといえる。35%過酸化水素水処理を60分間歯質表層に行いその影響を電顕的に調べたTitleyらの検討にもあるようにHi Lite^<TM>の漂白作用の主成分である過酸化水素水はエナメル質表層の形態にさほど影響は与えないようである。しかしながら漂白処理が修復物の接着性を低下させるという報告もあり漂白処理に基づく歯質の質的変化についても検討する必要がある。又、今回の研究では検討することができなかったが漂白処理の回数を増やしその処理による歯質表層の変化、その際の処理深度について今後の検討課題としたい。
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